コロナウイルスが日本のニュースで騒がれるようになってあっという間に1年がたってしまいました。
そのあいだに各国でワクチンが開発され、日本は現時点で3社のワクチンが導入されることとなりました
モデルナ社、アストロゼネカ社、ファイザー社がそれにあたりますね。
今回はファイザー社のmRNAワクチンについて身近なものに例えて、説明してきたいと思います。
1.mRNAワクチンは世界で初めて作られたワクチン
ワクチンにはいろいろな種類があり
生ワクチン
不活性化ワクチン
トキソイド
があげらます
1.生ワクチンは病原体の毒性を弱めたもの(風疹・はしかなど)
2.不活性化ワクチンは病原体の毒性をなくしたもの(インフルエンザ・肝炎など)
3.トキソイドは細菌が出す毒素の毒性をなくしたもの(ジフテリア・破傷風)
mRNAワクチンはこれらにあてはまらない世界初のワクチンになります
2.mRNAを身近なものに例えてみると
まず、mRNAについて説明していきますね。
2-1.mRNAは同じ会社の工場長、つまり同僚
私たちの体は水やタンパク質などでできています。
タンパク質は体の細胞の中にあるリボソームというところで作られており、その過程でmRNAが必要となります。
分かりやすく例えると…
細胞=会社
DNA=設計図をまとめた本棚
mRNA=工場長
リボソーム=工場
たんぱく質=商品
工場長は、商品を作るために本棚から設計図を選んでくれるんですね
椅子を作りたいなら椅子の設計図を、机を作りたいのなら机の設計図を本棚から探してくれます
そして設計図を解読すると、部下に指示して工場で商品を作らせます
2-2. mRNAワクチンは違う会社の工場長、つまり外部の人
今までは「工場長といえば同じ会社の人」だったんです。
外部の人間を工場長として招いても、商品を作れるのでは?という話はあったのですが
「外部の人間は心配」ということで
同じ会社の人間に工場長をやってもらっていのです
しかし、試しに外部の人間に工場長をやらせてみたら
思った以上に良い結果が出たので
「特別な商品をつくるときに外部の人間にお願いしてみよう…」
ということになったのでした
さて、この例えをもとに戻して、すこし専門的にしてみましょう
2-3.人工的につくったmRNAを、ワクチンとして使う
商品を完全内製化で作っていたが、外部の人間を雇って商品を作ることもできることが分かり、外部から人を招くことにした
↓専門的に言うと
今までは自分の体のmRNAでタンパク質を作っていたが
4万人以上の治験で人工的にmRNAを投与してみたところ、
ワクチンとしての結果がでたので
人工的に作ったmRNAを注射することを認めた
↓
この人工的に作ったものが、mRNAワクチンということになります。
3.まとめ
mRNAワクチンが今までのワクチンと違うということがお分かりいただけたでしょうか
従来のものは抗体(体を守る武器)をつくるために(弱毒化や無毒化した)病原体を使っていたのですが
mRNAワクチンは病原体が持っているタンパク質を「私たちの体の機構を使って作る」のです
つまり
病原体の特徴(たとえばサングラスという分かりやすい目印)がないとだれが悪者か分からず対策のしようがないので
体の外から、弱らせたサングラスをかけた不審者(弱毒化)や、心を入れ替えたサングラスをかけた不審者(無毒化)を招き入れて(注射して)
「このサングラスが悪者の目印!」と警察(免疫細胞)に教えて
警察にやっつける練習や武器を用意させるのが従来のワクチン
不審者の特徴であるサングラス(専門的に言うならスパイクタンパク)を作るために、
体の外から工場長(mRNA)を招いて(注射して)
自分の体の機構(DNAやリボソームなど)でサングラスを作り
そのサングラスを警察(免疫細胞)に見せて、
警察にやっつける練習をさせるのが今回の新型コロナウイルスワクチン
ということになります
身近なものに例えてみたのですが、少しはイメージできましたでしょうか?
ところどころ省略をしているので微妙に違うな…と書いていて思ったのですが、この記事を読んで少しでも新しいワクチンについて理解を深めていただけたら幸いです
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